イギリス一人旅ー14(プロム二日目@ミナックシアター)

朝から雨が降ったり止んだりのお天気でした。今夜のプロムは開催されるのでしょうか。
観光ドライヴからの帰り、タクシーから降りる時に、Mr.SMART TAXI に夕方のお迎えをお願いしましたが、その時点ではまだ開催されるのか分かりませんでした。こんなお天気では中止になるかも・・・などと車中でも話題になりました。もし、開催されるのなら、この番号にお電話をくださいと電話番号をノートに書いてくださいました。


ミナックシアターは、開催について5時30分までに決めて発表しますとのことでした。その時間にミナックシアターにお電話しまたら「開催します!」とのお返事です。


それから、Mr. SMART TAXI の番号にお電話しましたが、一向につながりません。私のお電話の掛け方が間違っています? ホテルの方にもお電話して頂きましたが、同じでした。だんだん時間は迫って参ります。仕方なく、別のタクシーを呼んで頂きました。5分くらいでタクシーは来ました。


若いドライバーさん、私が車に近づいたら車から降りて、ドアを指差して「前? 後?(どちらに乗りますか?)」と。ちょっとびっくりしましたが、「後ろにお願いします」と私。
ミナックシアターが近くなり大通りからミナックシアターに続く小道に曲がったら、「これで止めますね」とメーターを止めてくれました。なかなか親切な彼です。帰りの予約もお願いしたので、安心してプロムを楽しむことができます。



チケットの為にBOX OFFICE に行きましたら、朝、対応してくださった係の女性が「あら、貴方ね!」とにこやかに、覚えていてくださたんですね。嬉しかったです。
植物が植えられている通路を通ってお席に着きました。
植え込みの上に見える建物はカフェになっております。演奏が始まる頃からとても美味しそうな匂いが漂ってまいりました。きっとこのカフェからですね。
本当に美味しそうな良い匂い! しばし「この匂いはロースト・ラム?」と匂いに想像力をたくましくし乍ら耳は音楽を楽しんだのでした。



フレンド(友の会)のお席でした。前から2番目。黄色いジャケットの男性のお隣。舞台が目の前です。
まだ、雨が降っておりました。
前日は風が吹いておりましたので大変寒く感じました。ラッパを吹いたり、国旗を振ったりする時も手袋が必要でした。でも、この日は、雨は降っていたのですが、風が無かったので前日よりは暖かく感じられ、救われた思いが致しました。

周囲の方達はしっかりと雨対策をなさっております。私はバーバーのコート、帽子もかぶっておりましたが雨がしみ込みそうだったので傘をさして座っておりました。始まったら、もちろん傘はたたむつもりでした。そうしたら、舞台の準備をなさっていたスタッフの一人の女性がご自分の着ていたジャケットを脱いで差し出してくださいました。
「これなら雨も大丈夫で暖かいから・・・」「いいえ、私は大丈夫ですから。」「もう、準備は終わるし、私は平気よ。さあ、どうぞ」
拙い語学力でもご厚意が伝わって参りました。お言葉に甘えて着せて頂きました。お陰さまで濡れる事もなく、身も心も温かく、プロムを何倍も楽しめました。感謝の気持ちで一杯でした。


バンドの椅子は倒され、ドラムにはカバーが掛けられております。


さあ、始まりました。楽器は大丈夫なのでしょうか。ドラムの方はドラムの表面にたまった雨水を時々拭っております。そして雨に濡れているご自分のお顔も。
楽団の方は立ち上がっても演奏なさるので、椅子は濡れてしまいます。お尻は冷たかったことでしょうね。でも、そんな気配はちっとも感じさせない熱演です。

アリアを熱唱なさったレベッカ・ムーンさん、傘をさして登場でした。この夜も美しいソプラノでアベマリアなどを聞かせて下さいました。

マリンバの演奏も。超絶技法!素晴らしかったです。美しい音色でした。


期待の花火もありました。この頃には雨も止んでおりました。湿った空気のなか、白煙をあげて花火が空高く上がりドーンと花開きました。

イギリス国歌でお開き。希有な体験ができた楽しい夜となりました。この夜は天候のせいか、空席が目立ちましたが、バンドも客席も一体となって、大満足な夜。


お迎えのタクシーに乗りホテルに戻りました。帰りは助手席に載せて頂きました。支払いの時、料金は往きと同じと言われました。でも、「迎車代は?良いの?」「同じで」と彼。「ありがとう。」チップを弾んで車からおりました。
すこし訛りのある素朴な感じの若いドライバーさん。車も皮シートではなかったし、すこし汚れていたけれど、気持ちは優しかったのでした。

親切な心と音楽に感動したペンザンス最後の夜、忘れられません。