紀尾井シンフォニエッタ東京第88回定期演奏会

    

先日、紀尾井ホールでのコンサートに行って参りました。紀尾井シンフォニエッタ東京の定期演奏会で、指揮者は今年81歳になられるアントン・ナヌートさんです。紀尾井シンフォニエッタとの共演は二回目です。前回は2009年12月、ベートーベンの「運命」を指揮なさったのでした。とても素晴らしい演奏で、その時の演奏はCD化されました。
今回の演奏会の一曲目もベートーベン。序曲「エグモント」Op.84 という曲でした。普段、それほどクラッシック音楽を聞いているわけではないので、「エグモント」は始めてだったと思います。大変迫力ある中に繊細さが感じられるとても素晴らしい演奏と思いました。ホールに音が共鳴し、床から足、体に伝わってきたのも初めての経験でした。心から感動しました。
あの時、紀尾井ホールで同じ時間を共有していたみなさまも同じ思いだったのでしょう。演奏後の拍手が鳴り止まず、楽団員の最後のお一人が去るまでも拍手は続いたのでした。そうしたら、ナヌートさんが舞台に再び登場してくださったのです。

    

1932年、スロベニアでお生まれになったナヌートさんは、昨年80歳になられ、記念演奏会が開催され、スロベニア国営放送でも放映されたそうです。
指揮台で指揮なさっている後ろ姿は背筋が伸びて、とても80歳とは思えません。指揮棒はお使いにならず、左右の手を動かして指揮なさるのですが、その手はまるで踊っているように見えました。ご高齢でこのように矍鑠と指揮される姿にも感服いたしました。
ナヌートさんは、CDマニアにとっては、マイナーレーベルを中心に多くの録音がありながら、2009年まで来日したことが無かったので、「はたして実在しているのか」と言われていたそうです。2009年の初来日は微笑ましい意味での衝撃的なことだったとパンフレットに書かれておりました。