6月13日の朝日新聞記事

昨日の朝刊文化面に6月大歌舞伎に関する梅原猛さんの記事が掲載されておりました。梅原さんは夜の部「ヤマトタケル」の作者であられます。先日、ヤマトタケルを新橋演舞場にて観て参りましたので興味深く読みました。
ヤマトタケルの初演は1986年、初日の新橋演舞場はかつてない熱狂の渦に包まれたそうです。今回の新猿之助さんは先代とはひと味違ったヤマトタケルを演じたと初日にご覧になった感想を書かれております。
「先代のヤマトタケルは勇壮であったが、新猿之助のヤマトタケルはより繊細であった。特に第三幕において故郷を前にして空しく死ぬ姿には、先代には無かった哀愁があった。歴代で初めて妖艶な女形もできる多感な新猿之助が、強さの中に潜むヤマトタケルの哀しみを鮮やかに引き出した。」とも。本当に、三幕のこのシーン、心に響きました。私のお席の周囲にもうるうる・・・なさっている方もいらっしゃいました。
梅原さんに新猿之助さんは「ヤマトタケル」に劣らぬ作品を書いてくださるよう熱くお願いしているようです。梅原さんは「今年米寿になる私が老残の身でそのような歌舞伎を書くのは至難の業であるが、全力を挙げて事にあたれば、老い木に華麗な花を咲かせる事も可能であるかもしれない。」と書かれております。期待致しております。楽しみに待たせていただきます。
歌舞伎の記事の下には俳人金子兜太さんの記事。主宰なさっていらっしゃる俳句誌「海程」が創刊50年を迎えその祝賀会があったとのこと。記事によると「海程」の原点は、戦時中に赴任なさったトラック島で米軍の爆撃にあって戦車は海に沈められ、することが無いので陸海軍合同の俳句会をなさったことに有るそうです。長く続く俳句誌のルーツ、驚きました。昨年は初期がんの手術を受けられたそうですが、「まだがんばります」の一言で祝賀会を締めくくられたとのことでした。
「全力を挙げて事にあたれば」「まだがんばります」見習いたいと思いました。元気を頂きました。