遠野の昔話 & 一枚の紙から

8月の東北の旅、遠野ではアエリア遠野とういホテルに宿泊いたしました。落ち着いていて、お部屋もゆったりして眺望も良く、朝食もおいしく頂いた良いホテルでした。
毎晩18時から囲炉裡のある和室で「とおの昔話 語り部 いろり火の会」語り部による昔話の夕べが開かれております。ゆっくりしたテンポで遠野の方言で語られる民話を聞いていると子供の頃に戻ったようでした。そのときに語られた昔話が書かれている冊子をお土産に頂きました。


それぞれのお話は面白かったです。
くすっと笑えたり、ほろっとしたり・・・。
そして、さらに感心したのがこの冊子の作り方なのです。一枚の紙からできておりました! 一枚の紙の一部に切り込みが入っていて、折り畳むと、ちゃんと表・裏の表紙がある6ページの冊子になるのでした。
このような作り方を知らなかったので、手品のようでした。開いてはたたみ、開いてはたたみ、なんども繰り返してしまいました。


冊子の中から昔話を一つ「豆腐とコンニャク」をご紹介いたしますね。この夕べの最後に語って頂いたお話です。どのお話も最後は「どんどはれ」、「これでおしまい」という意味だそうです。


豆腐とコンニャク
昔あったずもな。
あるところに、豆腐とコンニャクといたったずもな。
ある時、豆腐ぁ棚から落ちて大怪我したど。コンニャク、それを聞いて見舞に行ったど。
「豆腐殿、豆腐殿、なんたな(どんな)怪我してぇ」って言ってば、怪我のところ見せてから
「お前いいだらや(いいじゃないか)、なんぼ棚から落ちたって怪我することねえもの」って、うらやましがったど。
してば、コンニャクぁ
「ねさねさ(いやいや)、俺だって毎日生きたそら無い(心地がしない)が」って言ったど。
「何してよ」って聞いたらば
「ほだって毎日『今夜食う(こんにゃくう)今夜食う(こんにゃくう)』って言われるもの。生きてたそらなかんべだらや」って言ったど。
どんどはれ。