紀尾井シンフォニエッタ

レジデント・メンバーになっている紀尾井シンフォニエッタの第80回定期コンサートが7月15日、紀尾井ホールにて開催されました。今シーズンのテーマは「ベートーヴェン交響曲全曲ツィクルス」です。シーズン最終回、当日の演目は【ピアノ、合唱と管弦楽のための幻想曲ハ短調作品80「合唱」】と【交響曲第9番 ニ短調作品125「合唱」】でした。最終回にふさわしい感動的な演奏会でした。

パンフレットに「毎回違う指揮者によってそれぞれ演奏スタイルの異なるベートーヴェンを披露するという点できわめて興味深いものとなった・・・」と寺西基之氏は書かれいます。「幻想曲合唱」は今回初めて聴く曲でしたが、ピアノの若林顕さんの演奏がとても素晴らしく感じました。紡ぎだされる美しい音はシャボン玉がつぎつぎと浮かんでくるように思われました。この演奏を聴き乍ら「このような時期に人々の心をいやすことが出来るのは芸術です」とおっしゃた熊井明子先生の言葉を思い出し、被災地の方たちにもこの演奏が届けられたら・・・と願わずにはいられませんでした。

ドライになっている花束はプロヴァンスで作り、小石はニースの海岸で拾いました。木の葉と樹皮のかけらはイギリスのお庭で。どれも楽しくなつかしい旅の思い出の品です。